|
「犬の訓練は、何時頃から始めるのが良いか」という問題について、ものの本には「身体がしっかりとできる、生後八 カ月頃が良い」とか、「生後半年頃が訓練を始める最適期です」と書かれていて、それを真に受け多くの方が、大切なしつけの時期を逃してしまうのです。中には、ご丁寧に、「その頃迄は、なるべく自然に、伸び伸びと育ててあげましょう」と迄書かれています。
また犬を預かって訓練をする訓練士であれば、訓練の開始は生後半年(あるいは、それ以降)からが良いと言うことでしょう。何故なら、犬を飼い始めたばかりの可愛い盛りの時期に、何ケ月間も手放すお客様など、なかなかいないからです。
そして確かに、一昔前のように、犬を訓練に出す事が、生活に余裕のある一部の人達のものであったり、展覧会や競技会で、良い成績をとる事を目的として犬を飼っている人達を対象とした訓練であるのならば、それなりに一理あるのかもしれませんが、家庭犬としての『しつけ』を考えた時には、全く当てはまりません。
「三つ子の魂、百までも」という諺があります。
いわゆる芸を教え込むのなら、また、様々な科目の訓練を教えるのならば、犬が何才になってからでも教えることはできます。
しかし、人間でいう、「人間性」を身に付けさせる事ができる時期は、ごく限られています。
人間の子供でも同じですが、国語・算数といった教科の科目を教えるのは、それに適した、或程度の年齢に達してからになるのでしょうが、だからといって、それ以前は、何でも子供のしたい放題にさせて、返事や挨拶はおろか、茶碗の持ち方や、服の着方等すら教えない親など、いるものでしょうか。それなのに、こと犬となると、「犬の本に書いてあった」、「訓練士さんにいわれた」などといって、本当に何も教えない人が、大勢いるのです。
こうした誤解を生んでしまう一つの原因に、「しつけ」と「訓練」という言葉が、時に同じ意味で、時に異なる意味で、使われる事があげられます。
犬のしつけは、犬を家庭に迎えた日から始めるべきだと思います。なぜなら、人間がどう考えようが、たとえ家族の方にその意図が無くとも、犬にしてみれば、その日、正確にはそれ以前から自分が置かれた環境や、人間と接する全ての時を通じ、様々な事を学習していくのですから。
もちろん、教える内容や教え方については、その月齢に合ったものでなければなりませんしそれぞれの月齢に応じて、教えるべき事柄があります。無上の愛情を受けなければいけない時期、試練を受けなければいけない時期、その時々にあった環境を作り、教えてあげることこそが必要です。
|