散歩のマナー


日本人の犬の散歩の光景といえば、まず犬との綱引きです。そして、すれ違う人や犬に吠えかかり、ところかまわず排泄する。飼い主は、といえば、単なる「動く杭」といった感じです。展覧会用犬の育成を目的にする業界の人間に教わるのでしょうか、それとも橇犬の調教師にでも教わったのか、犬に引っ張らせなければ、犬の運動にならないと信じ込んでいる人すらいます。
犬の嫌いな人にすれば、大きな犬が、飼い主を引きずりながら散歩をするようすは、不安以外の何物でもないでしょうし、実際、犬の危険な行動を制止できない飼い主では、犬を放して散歩しているのと何ら変わらないのです。
無責任な犬好きの人が、多くの犬嫌いな人を作り上げている事に、飼い主の方は気が付かなければいけません。皆様は、護身犬や橇犬を育てているのではないと思います。人間社会でみんなに愛される犬になるには、歩く番犬・歩く闘犬であってはならないのです。

大切なのは、幼犬期の社会馴致です。生後2~3ケ月の頃に、よい人・よい犬にたくさん会わせる事です。こうする事により、犬や人に対して不要な警戒心を持たなくなります。また、自動車や工事の騒音など、街中の様々なものにも自然に慣らしておくと良いのです。 散歩中に行き交う人やすれ違う犬に、むやみに吠えかかる犬がいます。そういう犬に限って、連れている人間は平気な顔をしているのです。犬が見知らぬ人に吠えかかるのは当然だ、とでも思っているのでしょう。しかしそれはあくまでも、自分の家の中でのみ許される事なのです。道行く人に喧嘩を売って歩く事など、人間で言えばさしずめ、チンピラか愚連隊が、俗な言葉で言えば「ガンつけて歩いている」のと同じです。非常に無礼、かつ、恥ずかしいことだと認識して下さい。

犬を放して散歩をさせる人の多い事にも驚かされます。呼ばれたらすぐに来るという基本すら教えていない飼い主に限って、この傾向が強いのは情けない限りです。そうした人に限って、
うちの犬はおとなしいからとか、何もしないから大丈夫だというのです。法律を持ちだして、犬を放す事は一切まかりなりません、といいだすつもりはありません。しかし、犬を放す事には、もっと慎重でなければなりません。それ以前に、呼ばれたら直ちに来る様に、しっかりと教えておかなければなりませんし、十二分に、時と場所を選ばなければいけません。訓練士が、相当に訓練した犬であっても、爆音を響かせて来るオートバイに驚いたり、風で突然に倒れてきた自転車に怯えて逃げ出したり、散歩中の発情期の雌犬を追って行ったり、犬を見て急に逃げ出した子供を追いかけて転倒させてしまったり、それて転がってきたキャッチボールのボールを追いかけて車道に飛び出してしまったりという事があるのです。

犬を放すという行為には、犬がいなくなってしまったり、交通事故にあう、また、飼い主の知らない間に、危険なものを食べてしまったり等といった、自分の犬に不幸な結果を招くことのみならず、咬傷事件を含めた、不慮の事故の加害者となったり、他の犬と喧嘩したり、犬が勝手に遊び回っている間の排泄物の処理の問題や、不純?異性交友といった様々な問題があります。また、大きな犬を散歩中の飼い主が、放している小型犬に寄って来られて、必死に自分の犬の紐を引き寄せている光景もよく見受けます。大きな犬を飼う人は、そうした状況でも問題がおきない様にしつけておくべきでありますが、小型犬の飼い主の側も、万一咬傷事故になった時に被害者面をする前に、いくら、自分の犬は小さくて危害を与える事は無くても、むやみには放さないといった程度の、良識は持ちたいものです。

次に、排泄物の始末の問題ですが、基本的に、散歩を排便・排尿の機会としない事です。ある愛犬雑誌の読者欄に、「スコップも持たずに犬の散歩をしている人さえいるが・・・」という投書がありましたが、私などは、万一の粗相に備えて、ティッシュとビニール袋を ポケットに持つだけですから、第三者目にはそう思われているのかも知れません。しかし私にすれば、犬の散歩は、あくまでも散歩で、排泄のためのものではないのです。私達だって、出かける時には、前もってトイレを済ませます。

そしてそれ以外にも次の様な理由があります。

 ○ トイレ場所を選ぶ犬に、人間がついて歩くことにより、犬が、行動の主導権を持つようになり、      散歩中、犬が一層引っ張るようになる
 ○ 雄犬においては、マーキングをする事によって、自我が強くなると  同時に、縄張りが広がる事    により防衛意識が強まる
 ○ 排尿の始末をする人はいない(毎日、沢山の犬に家の前でされる側にしてみればたまらない)
 ○ 便の状態がいつもいいとは限らない(舗装された路面において、きれいに取る事は難しい)
 ○ 伝染病・寄生虫の媒介源となる
 ○ 商店街・繁華街をつれて歩けない
 ○ 始末をする姿や持ち歩く様は、それほど恰好いいものではない(もちろん、そのまま立ち去る、    途中で捨てる、等は、論外です)
 ○ 雨が降ろうが槍が降ろうが、飼い主が熱を出しても、怪我をした時であろうとも、散歩に行かなけ    ればいけなくなる

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